◆甲殻類の乾燥標本 その1◆
ザリガニが死んだ時、その個体に対する思い入れに比例してその姿を残したいという欲求に駆られます。甲殻類の標本として図鑑に紹介されていたのはホルマリン漬けでしたが、実際やってみると色が白く抜けてしまう、かさばる、といったデメリットがありました。ホルマリンの入手も面倒ですし。そこで昆虫みたいに乾燥標本にしてしまおうと思ったわけです。とりあえず甲殻類の乾燥標本について調べてみたところ、唯一見つかった記録が、バラバラにする→腐らせて肉を抜く→組み立てといった方法でした。なんだかとっても難しそう(特に組み立てが)…ということで、極力バラバラにしないで乾燥させる方向でやってみました。
昆虫と同じように作れば、たちどころに悪臭を放つことうけあいです。そのため、冷蔵庫のなかでシリカゲルにより乾燥という方法で試作してみました。

とりあえずウレタンフォームの上で展足。昆虫よりも脚の関節の自由度が高くて整えるのに時間がかかりました。こんな形でいいのかな?

展足の前に、カラパスを腹部との間の部分から半分ぐらいはがして、エラや内臓、腹部の筋肉を抜いたり抜かなかったりしてます。
展足後、シリカゲルに埋没。この後フタをして冷蔵庫へ。そして湿気を吸ったシリカゲルは定期的に交換しました。条件にもよりますが、この方法では大体20日ぐらいで完全に乾燥するっぽいです。

以下、作品(失敗作?)の数々です。

標本第1号のミステリーです。

中身は抜かず。 きっと体内にはたくさん油分があるだろうなと思って、乾燥前にアセトンで油抜きをしたとたん真っ赤に!(゚Д゚;)。アセトンのおかげで乾燥は速かったですが…。よってアセトンでの油抜きは却下 。99%アルコールも試してみましたが同様だったので却下。
管理人のKAZ氏所有の白ザリ♂が死んだので、亡骸を譲り受けて作成。

全身にコケが付着していたのでハイターで漂白してコケを落とした後、中身を除かずに展足して乾燥させました。漂白した段階で尾扇が赤くなりましたが、その後あまり色が変わらず完成。腹部が黒っぽく変色しましたが、まずまずの出来です。
ワイルドアメザリ♂

今回は中身を除いて乾燥させてみました。中身を除かない場合と比較して乾燥するのが速かったです。しかし、乾燥するに従って体全体がスーパーレッド(?)に…。生存時はもっと赤黒い色でした(-.-;)
ワイルドアメザリ♀

中身を除いて乾燥。これも体全体がスーパーレッドに…。外殻が薄い部分ほど赤く変色し、元の色が失われやすいみたいです。なお、生存時は茶色でした。これを作成した時点で、赤くならない方法さえわかればなんとかなりそうと考え始める…が、どーしていいかわからない。
フロリダブルー♀

中身は除かずに乾燥。なるべく速く乾燥させれば赤くならないかも…と思い、頻繁にシリカゲルを交換したが、効果はあまり無くなんとも小汚い仕上がりに。(T.T) 生存時は綺麗な水色だったのに…
歩脚は赤くならなかったのですが、その他の部分は薄紫色になってしまいました。ボディーの黒いシミが許せない一品です。

フロリダブルー♀

おそらく交尾を迫る雄のハラスメントにより死亡。そのせいで片バサミがもげてます。
中身は除かず、前回よりもさらに頻繁にシリカゲルを交換(1日1回以上)。その効果かどうかわからないが、ハサミと尾扇以外はあまり赤くならなかった。しかしカラパス中央の黒いシミが徐々に広がりそうな気配です。どうしよう?
なお、生存時の濃紺色は乾燥するに従って水色になりました。これは仕方が無いかな…

2007.02.17追記
あれから甲殻類の標本についてお勉強したところ、アルコールに漬ける→徐々にホルマリンを足す→乾燥 という方法がありましたのでチャレンジしてみました。

写真は甲羅を剥いで、内臓を出してから一連の処理を行ったものです。元は真っ赤な甲羅でしたが、処理中に色が抜けてしまいました。甲羅は付けたままホルマリン処理した方がよいっぽい。

前回の教訓から、甲羅を剥がずに処理してみました。上は剥がずに処理→そのまま乾燥したもので、甲羅が若干黒くなってしまいました。

下は剥がずに処理→乾燥前に内臓を取り出したもので、わりかしきれいに仕上がりました。

ちなみにこいつらはミナミスナガニ。マラカスのような形をした目がキュートです。
これはムラサキオカヤドカリ。甲羅を剥がずに処理をして、扇風機で風乾しました。この風乾で一気に乾かすというのがビンゴで、結構きれいに色が残りました。
これもムラサキオカヤドカリです。上の物と同様の作り方をしたのですが、処理時間が長すぎたのか色が抜けてしまいました。残念。

<その2へ続く>