Prosopocoilus torresensis
トレスノコギリ
オーストラリア領・トレス海峡諸島
CBF2

piguo25さんからの頂き物

はるばるオセアニアの小島からやってきた小さなノコ。ぱっと見黒一色ですが、よく見ると前胸と鞘翅のふちにはうっすらとオレンジ色のラインが入ってます。オーストラリア本土に生息する別亜種は単為生殖できるというのは有名な話。
雌の尻。鞘翅のラインはよく見ないとわからない。
♂1個体 + ♀2個体いただきました。大体2ヶ月くらいたっぷりゼリーを食べさせた後、3個体まとめて10日間同居させました。その後、♀をそれぞれ別の産卵用ケージへ。ケージはミニプラケ + 1.6mmフルイがけアンテマット + 樫の木の芯です。せっかく2ケース組むので、片方はやや乾燥気味、もう片方は水分大目にしてみました。
どちらのケージも♀投入後しばらくすると側面に卵が見え始めました。そして♀を投入後約1ヶ月で♀が地上に出てきてゼリーを食べていたので回収しました。この時期にはちらほらと幼虫の姿が見えてました。
♀を出してから2週間後に割り出ししました。その結果、やや乾燥ケージからは幼虫26個体、水分大目ケージからは幼虫30個体 + 卵1個でした。幼虫は全て1齢幼虫でした。水分量の差はあんまし影響なかったみたいです。それにしても大豊作ですね…誰かに配るとしましょう。

回収した幼虫は40個体を微粒子ブナカワラ菌糸ビンへ、残りはアンテマットに投入しました。

2009.12.26追記
最初の個体が割り出し後5ヶ月で羽化。200ccカップの発酵マットで26℃管理です。最初は2個体の♀親を分けて管理していたのですが、途中でわからなくなってしまいました。
♀に遅れること約3ヶ月、ようやく♂が羽化してきました。性比はかなり♀に偏り、♂:♀=1:3くらいでした。♂が貴重です。
写真は♂33mm。この個体は3齢までカワラ飼育したあと480ccカップの発酵マットに移しました。飼育温度は18℃前後です。ほかの個体にも、この個体のように鞘羽にシワが入る個体が多かったです。
最大の♂36mm。この個体は割り出し後79日後までカワラ(3齢)→480ccカップの発酵マットに移したのち約半年かかって羽化しました。飼育温度は18℃前後です。この個体は鞘羽に目立ったシワがなく、いい感じです。
頭部および大顎はけっこう複雑な造形をしています。ビソンに似てますね。
ビソンの頭部(標本)です。基本的な構造が似てます。生息しているところが近いですし、おそらく近縁なのでしょうね。この個体はイリアン産の亜種cinctus
中にはゲニタリアの形がちょっとおかしい♂蛹がありましたが…
ちゃんと羽化しました。交尾能力には不安が残りますけど。体長は36mmで、鞘翅にシワが無くてとてもいい感じです。
かなり小さい♂も羽化しました。体長は20mmほどです。この個体は、1齢で割り出し後、カワラに投入、19℃で管理。2ヵ月後ワインクーラー(18〜20℃)、108日後、♀と判断し発酵マット200ccに詰め替え、凍らせたペットボトルを用いた保冷庫(22〜26℃)に移動し約3ヵ月半後に羽化しました。
突起物がほとんど発達していないです。
<おまけ>
早めに羽化した♀2個体を未交尾のまま産卵させたところ、片方はボーズでしたが、もう片方の♀が産んだ卵が孵化していました。ま、この件に関しては深く追求するつもりはないのでこの辺で。